製造業における生産性向上のメリットと生産性を下げる原因について
企業として利益を最大化するためにも、生産性の向上は重要な課題の一つです。
製造業においても同様のことがいえますが、製造業における生産性の向上にはどのようなメリットがあるのでしょうか。また「なかなか生産性が向上しない」とする製造企業も少なくありません。
そこでこの記事では、製造業の生産性が低下する原因や生産性向上のメリットと併せて、生産性向上の方法を解説します。
製造業の生産性が低下する原因
製造業における生産性が向上しない、低下してしまう原因としては主に次のような点が考えられます。
ムダな作業が発生している
従来どおりの作業方法でルーチンワーク化している場合、ムダな作業が発生している可能性があります。効率性を考えれば不要であるはずの作業であっても、ルーチンワーク化されており、惰性で実施しているケースも珍しくありません。また、そもそも作業の全体像が見えておらず、ムダな作業であることを認識できない場合もあるでしょう。
ノウハウが属人化している
ノウハウや業務自体が属人化していると、特定の従業員しか作業を行えないため非効率です。例えば、該当する従業員が休んだ場合には作業が進められず、生産性が低下することになるでしょう。ノウハウが属人化すると他の人でも作業自体は行なえても、効率が良くなかったり品質が悪くなったりする可能性もあります。
生産性向上への意識が低い
そもそも「従来どおりの方法でできているのだからやり方を変える必要がない」と、従業員が考えている場合もあります。生産性向上により生じるメリットよりも、作業方法が変わることや環境が変わることを嫌がる従業員もいるでしょう。生産性向上のメリットを従業員一人ひとりが理解し、「向上させるべきだ」と意識付けできないことも生産性低下の原因の一つです。
製造業における生産性向上のメリット
生産性向上により生じるメリットとしては、おもに次のような点が挙げられます。
新規開発などの本質的な仕事ができる
製造業に限った話ではありませんが、日本では全業務の7~8割がルーチンワークといわれています。ルーチンワークをこなすだけで時間に追われてしまい、新しい価値を創造するようなクリエイティブな仕事ができない、というケースは少なくありません。
ルーチンワークを自動化することで、余裕のできたリソースを使って新規開発などの本質的でクリエイティブな仕事ができるようになります。本質的な仕事にリソースを割り当てることで、従来の業務改善などにも取り組めるため生産性が向上します。
自動化することでミス削減につながる
生産性を向上させるためには自動化が欠かせません。人間の作業では、どうしてもミスが発生する可能性がありますが、機械やシステムで作業を行なうようにすればミスを限りなくゼロに近づけることができます。また、機械的に作業を進めることができれば、人手不足の解消や品質の安定などのメリットもあります。

製造業の生産性向上の方法
製造業における生産性向上の具体的な方法を4つ紹介します。それぞれ個別に実施するのではなく、組み合わせて包括的な生産性の向上に取り組みましょう。
作業内容を可視化してムダを排除する
業務の生産性を向上させるためには、はじめに現状をしっかりと把握することが重要です。そのためには、作業内容を可視化することから始めましょう。作業内容の可視化が実現すれば、ムダな作業も発見しやすくなります。作業内容を可視化してムダを排除することで生産性の向上が期待できます。
マニュアルの整備や研修などによるスキルアップ
ノウハウ・業務の属人化を解消するためには、業務の標準化が欠かせません。そのためには、誰もがどんな業務でも実施できるように、マニュアルを整備することが重要です。併せて、自動化を進める場合にはデジタル化を進めることになるため、デジタル人材の育成も必要になります。研修などを通じて業務の属人化を解消するとともに、デジタル人材の育成など従業員のスキルアップを図りましょう。
システムやツールの導入
図面やマニュアルをデータ化し、それらのデータをすぐに検索できるシステム・ツールの導入も必要です。その他にも、在庫管理・工程管理・購買管理・生産管理などもシステム化することで、生産性の向上が期待できます。人手不足が深刻化している昨今では、業務を効率化して生産性を向上させるために、システムやツールの導入は必須といえるでしょう。
AIの利用
システム・ツールの導入と併せてAI(人工知能)の利活用も検討するべきです。
さまざまな業界・業種でデジタル化が取り組まれていますが、特に近年ではAIの利活用が注目されています。製造業では図面データをAIが取り込み、流用設計に活かすといった活用が行なわれています。AIは1から10までのすべてを自動化するものではありませんが、今後の生産性向上のためには欠かせない要素の一つです。
まとめ
製造業の生産性が低下する原因としては、ムダな作業の発生やノウハウの属人化、生産性向上への意識が低い点が考えられます。しかし、生産性を向上することで新規開発などの本質的な仕事ができるようになり、自動化によってミスの削減も期待できるでしょう。
製造業の生産性向上にはさまざまな方法がありますが、デジタル化を進めてAIを活用することが特に大きな効果を期待できます。製造業だけでなく、AIの活用はさまざまな業界・業種で注目されており、今後はよりその存在感は増すことでしょう。
生産性の向上にお悩みの場合には、AIの活用も検討してみてはいかがでしょうか。