TechnoPro MEMBER

DXソリューション統括部・先端技術センター・クライアントリーダー
K.N.

AIベースライブラリを人材育成に活用。技術系アウトソーシング事業に新しい価値を生み出す

「自分がどこまで通用するのかを試したい」アカデミックの世界から、ビジネス界への挑戦。

東北大学の研究室で物理化学を専攻。博士号を取得後、東京大学で博士研究員、特任助教として経験を積む。
…こう書くと、アカデミックの世界で順調にキャリアを積み上げてきたように見えるかもしれません。
たしかに、前職は研究者としても満足のいく環境ではありましたが、その一方で私が専攻していたベーシックサイエンスは研究費が抑えられてしまっている分野でした。
そのため、いつもコストと進めたい研究とのせめぎ合いが続き、制限される世界でもありました。
さらに将来を踏まえると、教授職に就任するには非常に狭き門をくぐる必要があります。
もちろん、研究職として残る道もありましたが、ここで得た研究手法や物事の本質を探る視点が、もっと広いビジネスの世界で通用するのかどうかを試してみたくなりました。 それともう一つ、転職した理由があります。
趣味で某スポーツ団体を立ち上げて数年間、地道に自分なりに工夫を重ねていくうちに少しずつ団体組織として整ってきて、「組織づくりの面白さ」を実感し始めていました。これは利害関係もほとんどない趣味の段階ではありましたが、組織づくりについても実社会で学んでみたいと考えるきっかけになりました。

転職を決意し、会社を探していくうちに当社に出会いました。
「データサイエンティスト育成コースがある会社」
今までの研究分野とは少し違いましたが、機械学習、データ統計や整理、そこから読み取れる情報の分析など、私の経験が活かせるのではないかと思ったのです。 それまで社名もよく知りませんでしたが、まずはチャレンジしてみよう!と思い立ち、2018年にビジネス界へと飛び込みました。

データサイエンティストの視点から見えてきた、ビジネスの課題と可能性

入社後はデータサイエンティストとしての視点を少しずつ身に付け始め、医療機器メーカー、センサーメーカー、金融業界、建設業界、小売業界などあらゆる分野のプロジェクトを経験する機会に恵まれました。
しかしその一方で、クライアントが欲する開発現場のニーズに対して、本当に応えきれているのかという疑問が残りました。
技術系アウトソーシングは、クライアントから委託されたニーズに対して適切に応えていく。それはもちろん重要なことです。しかし、DX戦略やIoTの導入といった技術とマーケティングデータの掛け合わせが求められる昨今、今後クライアントから求められる人材は一つの工程に従事するエンジニアだけではなく、《手を動かせる+AIの知見がある人》ではないかと思ったのです。
しかし、AIビジネスに絡むプロジェクトでは、データ分析やライブラリ、ソースコードの使用など高い専門性が求められる領域でハードルも低くはありません。
いくらエンジニアの技術力が高くても、AIビジネスの知見となると人によってレベルは高低差がありました。少し属人化している側面があり、提供できるソリューションの品質安定化はかねてからの課題でもあったのです。
そこでデータサイエンスのアルゴリズムについて、社内で学べる機会をつくってみようと思い立ちました。

まずは今まで蓄積したナレッジを情報資産化し、高品質なライブラリを構築すれば、それは当社独自の付加価値につながるのではないか。そのライブラリを当社の技術者育成プログラムに組み込めば、より市場価値の高い人材を輩出できるかもしれない。そう考えたのです。
もちろん、論理背景だけを伝えても、《論理+結果》がわかるだけでは机上の空論になり育成につながりません。
データサイエンスという言葉だと、受講する側もハードルが上がってしまうので《物事を改善する技術》という切り口で、より具体的な事例を盛り込むことにこだわりました。
様々あるAIライブラリの、どのコードを使えば最適な課題解決に導けるのか、過去事例をもとにお手本となるコードがわかる人材育成ツールの構築を目指しました。

今後求められる技術者を、テクノプロ・デザイン社から輩出する

プロジェクト現場ではAIの分析データに基づく課題解決が遂行されていく中で、クライアントとデータサイエンティストの間で共通言語を持ち、《翻訳》ができるエンジニアが中心にいれば、プロジェクト全体の効率化にも直結していきます。
例えば” データ分析の結果、◎◎なことをやりたいんです”というご要望に対して”それはですね…”と横断で話ができる人。こうした人材が開発現場では重宝されていきます。
AIデータ解析といった最上流から開発~構築・運用までをシームレスに手掛けられる会社、クライアント様に寄り添ったソリューションを提供できる会社というブランドを社会に根付かせていくべきだと考えています。 テクノプロ・デザイン社の社名にある「デザイン」は、テクノプログループの企業でもほかには見ない単語です。
これは私自身の解釈にすぎませんが、きっと技術者個人のキャリアデザイン、技術を通して新しい社会を実現するデザインなど、これからの時代、社会をよりよく変えていく使命がある名前だと思っています。AIベースライブラリが少しでも付加価値を創造していける手助けとなれば、これ以上のやりがいはないですね。

もう一つ、伝えたいことがあります。
日本では《ポスドク》と呼ばれる非正規雇用の博士の割合が多く、何年も苦労して博士号を取得してもその先のキャリアパスが描きづらい環境にあります。
しかし博士号を取得したということは、専門知識はもちろん、専門外であってもロジックの組み立て方や思考・アイデアなどが豊富にある人が多いでしょう。
これからの社会では博士号取得者が活躍できるステージが増えていくはずです。 しかし当の本人たちは「社会に出ても慣れない」「ビジネスの経験がない」といった理由で可能性を感じていないかもしれませんが、一つでも活かせる知見があるならばそこから想像を超えるようなキャリアパスを描くことはできると思います。

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