文系出身ながらも「まずは2年頑張ってみよう」
根津さん
今となっては良かったのかもしれませんが、勉強しているうちにプログラミングが面白くなってしまったんですよね。もちろん技術の仕事をする以上、スタートラインに立った時点で文系出身の自分は理系出身、特に情報系の出身者と比べてしまうと技術知識のハンディがあることは分かっていました。
就職当初にも当時の上司から、「理系出身者に追いつくには2年はかかる」と言われまして、「じゃあ、自分もその言葉通りにまず2年頑張ってみよう」と。就職後、プロジェクトへの初配属時は見るもの、聞くものすべてが初めてだらけの環境でしたが、なんとか与えられた目の前の仕事をこなしながら3年目を迎えた頃、気がつくとスタートラインにいた頃にはかなり先行していたはずの同期の人間とも肩を並べて仕事をできるようになっていました。
開発業務だけではなく持ち前のコミュニケーション能力を活かして部内調整や日程の管理などもされていたそうですね。
根津さん
開発フェーズで忙しい時期にはお客様のフォローのためにメンバーの業務分担やスケジュール管理をお手伝いするなど、チームリーダー的な仕事もさせていただいていました。いわゆる「ぶらぶらマネージメント」※1というスタイルでいろいろな所に顔を出して話を聞いてまわっていたものですから、チームの仲間が面白がって私を『社長』と呼んだりすることもありました(笑)。
システムを左右するDBパフォーマンスチューニング
現在、根津さんはJavaを用いたWebシステムの開発・運用・保守を担当されているそうですね。
根津さん
はい。ただ、Javaを使う業務といっても、多くの現場のシステムではDB(データベース)を利用していますので、これを知らないと話になりません。そして、ユーザーが画面などを操作して、直接利用するようなシステムではDBのパフォーマンスチューニングの出来・不出来でエンジニアの技術力が判断されると言っても過言ではないと思います。あまり専門知識のないユーザーからの「処理が遅い」などの感覚的な問題から、「画面をクリックしたけど反応がない」といった性能面での問題まで、パフォーマンスチューニングによって解決できることは多いんです。もちろん、DBではなくプログラムそのものの作りに原因があったり、プロセッサやメモリなどのスペックがボトルネックになっている場合もありますが。
若手技術者がスキルアップする上でもDBに関する知識が重要、ということでしょうか?
根津さん
そうなんです。だからこそ、IT技術者にとってはまずSQLを使いこなせることが必須です。JavaやC#、COBOLなどプログラミング言語はたくさんありますが、どの言語を勉強するにしても同時にデータベース言語であるSQLの勉強をすることをお勧めします。SQLはそれだけ重要な言語であると同時に、単純ながら非常に奥深い言語なので、担当するシステムに最適なSQLの書き方を導き出すには時間をかけてでも使い方に馴れていく必要があります。他のプログラミング言語を扱う際にも同様の感覚は必要ですが、アルゴリズムを最初にきちんと理解できていれば大概の言語に対応することができるはずですし、業務知識も若いうちであれば仕事に就いてから覚える、でいいと思います。逆に、この世界で「SQLはわかりません」ではまずシステムの担当者として通用しませんし、できることも非常に狭い範囲になってしまうと思います。
自分の中の『空気』が変わる
派遣技術者として働くことについてはどのような感想をお持ちですか?
根津さん
ひとつの業務システムに長く携わってその道を極める、という姿勢も大事なことだと思います。しかし、派遣で仕事をするようになって感じたことですが、派遣先が変わると使われる技術も変われば扱う人も変わり、その変化のおかげで自分の中の『空気』が新たなものになって、自分自身の伸びしろをまた改めて感じることができるという良さもあるんですよ!
ひとつの現場で長く仕事をしていると当然、仕事には『慣れ』ますし、業務に関する知識や技術も深まると思います。でもその一方で『慣れ過ぎ』てしまい、精神的にも技術的にも時間と労働力の投資回収率が徐々に悪くなるような感じがして…。新陳代謝が悪いとでも言うのでしょうか…。
「時間と労働力の投資回収率」というのはマーケティングに関する知識が豊富な根津さんらしい表現ですね(笑)。今回はお話をありがとうございました。