はじめに
車載機器組込みについて高い技術力を擁していた企業との M&A で、同分野での事業拡大を実現しているテクノプロ・デザイン社。通常、 M&A では異なる2社の企業文化や社員の資質をどのように合わせていくかが重要となります。前身の車載機器組込み事業の特性をそのまま活かし、「テクノプロ・デザイン社 車載機器開発センター名古屋事業所」として新たなスタートを切ったことで、2社の「良さ」が車載機器開発センターの付加価値を上げることにつながっています。テクノプロ・デザイン社ならではの、新しい技術拠点の在り方を座談会形式で紹介します。
楠本/テクノプロ・デザイン社は技術アウトソーシング事業から発展してきた歴史はありますので、クライアント先の様々なプロジェクトへの派遣/常駐という業態で、技術者の育成ノウハウなども培ってきた企業です。
しかし当センターは、こうした事業とは別の立ち位置で、ほかの拠点と大きく異なるところがあるのです。それは受託開発案件が中心であることです。
これは車載機器開発センターの前身でもある、M&A 前の企業の組織をそのまま活かして設立されたからです。通常のM&Aといえば、合併した企業の、それぞれの企業文化や制度などをいかに統合するかに重点が置かれるかもしれませんが、当センターでは合併前の風土や企業文化、ビジネスモデルを継承しつつ、テクノプロ・デザイン社の強みを付加することで、受託開発の拠点という特殊なポジションを担うことができていると思います。
杉山/私自身、新卒で前身の企業に1999年に入社しました。だからテクノプロ・デザイン社と一緒になると聞いたとき、自分の将来のキャリアパスや仕事環境がどうなるか分からない…という不安があったのですが、車載機器開発センターとして組織を残すということでしたので、その不安は払拭されました。この大きな組織体制の中で、今まで通りに仕事できると思わせてくれたのは本当に大きかったです。
楠本/そうですね。当センターは派遣の経験があるエンジニアは少なく、例えば大手自動車メーカーのパートナーとして、先行技術を用いた受託開発案件に従事するなど、ほかの組織とは雰囲気や働き方が少し違っているかもしれません。
「生粋の受託事業者」という自負のようなものですね。
だからこそ、各技術分野に狭く深く入っていくタイプのエンジニアが多いですね。一ひとりの技術のレベルが高く、クライアントからも高い評価をいただいていると思います。
欲を言えばもっと視野を広げてほしいと思う時もありますが…笑
森/たしか、収益モデルも少し違うと聞きました。
楠本/アウトソーシング事業ではエンジニア一人当たりの価格テーブルでの単価が決定されていきますよね。しかしここでは、個人ではなくプロジェクトごとにいくら、といった「単一単価」のビジネスモデルなのです。つまり、チーム内の新人でもベテランでも同一の価格帯ということです。これは個人のスキルがチームや当センターの付加価値にもつながっていくということでもありますよね。「自分たちでどうすれば収入が増やせるのか」といった意識が一人ひとりに根付いているので、当センターの方向性やビジョンはみなさん、念頭に入れながら業務を遂行していると思います。
森/私は前職がソフトハウスで10年ほどカーナビゲーションシステムの開発に従事していたのですが、転職して当センターの前身の会社に入社しました。
そんな私からみても、テクノプロ・デザイン社になってからさらにチームワークの重要性を感じることが多いです。
現在、大手自動車メーカー様の受託プロジェクトを担当し、約12名のチームマネジメントを行っています。
マネジメントする立場から見ても、チームとしての収益はもちろん、付加価値を考えるようになりました。
楠本/テクノプロ・デザイン社の中期経営計画にもある「総合技術ソリューションカンパニー」を目指す流れの中で、当センターとしては「ソリューション事業の中核を目指す」ことを目標として掲げています。
実は以前、当社の代表と話す機会があり、その中で「もともとテクノプロ・デザイン社に所属していた社員よりも、うちの強みや特徴が見えていますね」と言われたことがあります。
当センターに置き換えるとソリューションは、受託開発に関わる際にクライアントと同じ視座に立って、「なんのためにこの製品を生み出すのか」「このプロジェクトの先に、どんな景色が見えているのか」を自ら考えて技術力で応えていくことにつながります。
杉山/今、私は先行研究のプロジェクトにて、クライアント様と一緒に調査や解析から入っています。まさにまだ製品にもならない、世の中にまだ出ないような開発を経験できているので、かなり大きなやりがいがあります。実はこのプロジェクトも当センターの前身の会社から続いています。
森/そう、「杉山さん」という名前で仕事をいただいていますよね。それは杉山さんがクライアントと同じ方向性で考えて動くからだと思うんです。それが付加価値になっていきますよね。
楠本/前身の会社から引き継いでいる「ニッチトップ」を目指す技術力と、テクノプログループが持つ上場企業の豊富なリソースをかけ合わせれば、もっと多くのイノベーションを生み出せるかもしれません。
楠本/森さんは、チームマネジメントを行う際にどのようなところを気を付けていますか?
森/まずはメンバーの意見や要望などをしっかりとヒアリングすることです。
細かいところまでヒアリングを重ねていき、信頼関係を築いていくことを心がけています。
私自身、業務を任されることで成長できているという実感はありますので、メンバーも信頼を置きながら任せられるものはどんどん経験を積んでもらうようにしています。
楠本/「学習する組織」「システム指向」というキーワードが当センターとして重要になってきます。
当センターは2018年にスタートしていますが、今後長く技術を継承するためにも「センター全体」「事業全体」など経営学的な知覚の定着が大切で、これを加えることで独自の風土文化を発展させたいと考えています。
一人ひとりがそのような知覚を持ち技術以外の視座を持つことで、おのずと自分たちで自走し改善点があればそれを実行し続ける「学習する組織」でありたいです。
杉山/確かに、マネジメント業務は予算管理なども含めて俯瞰する視点は求められるかもしれません。
どういうものが達成していればクライアントは嬉しいと思っていただけるか、たとえば、どんなデータが揃っていれば前に進むのか、どんな提案をすればクライアントと同じ方向を見ることはできるのかを考えることは大切ですね。
楠本/まさにそれが本質です。経営学的視座はマーケティング志向が生まれ、潜在的な課題の発見、価値を提供することが必要で、そのためには「請負の業務をこなす」のではなく、「技術を提供する」ことだと、前に統括部長から聞いたことがあります。受け身だけでは事業にも広がりが生まれにくくなるので、自分から仕事を生み出していくという意識が技術承継にもつながっていくと思います。
しかも、プロジェクトが終わった後にクライアント側がそのソリューションを継続できるように踏まえなければなりません。
継承という観点からだと、当センターに今後必要となってくる人材の育成も本格的に行う必要があります。
上記のような観点を持つ当センターですから、技術力はもちろんですが視座の高さや経営的視点、たとえばOEMの開発(川上)からサプライチェーン(川下)まで、を網羅できる組織として発展すると、自動車業界や産業機器業界にも大きなインパクトを残せる仕事ができるんじゃないかなと思います。
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